平成26年度税制改正~個人版再生税制の創設~

2014-03-07

平成25年12月24日に平成26年度税制改正大綱が閣議決定されました。その中で、個人版再生税制の創設が盛り込まれております。

現行の所得税では、法人税のような債務免除益に対する税制措置は講じられておらず、個人事業者の再生を進めるうえでの問題となっておりました。

平成26年度税制改正により、この問題についての税制措置が講じられ、従来よりも個人事業者の再生が進むことが期待されます。

 

1 債務免除益と資産評価損の相殺

改正により、個人事業者の事業用資産が含み損失の計上が一定の要件の下で可能となります。

これまでの所得税法では含み損の計上は認められておらず、含み損の実現のためには、当該事業用資産を譲渡することで含み損失を実現するしかない一方で、現実には当該事業用資産は事業継続に不可欠な資産であること、不動産の譲渡損失は事業所得との損益通算ができないことなどから、含み損失を実現することが難しいのが現状でした。

(改正租税特別措置法案第28条の2の2)

 

2 資力喪失の場合の債務免除益の特例の明文化

これまでの所得税法基本通達36-17において、債務者が資力を喪失している場合において、債務免除を受けた場合の経済的利益については、総収入金額に不算入する旨の規定が存在しておりました。

そして、当該規定は通達に過ぎず、具体的な要件等が明らかではなかったものですが、今回の改正により所得税法に明記されることとなり、当該規定の法的安定性が付与されたと考えられます。

改正所得税法案44条の2によると、破産法に規定する免責決定又は再生計画認可の決定、その他資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合において、本特例の対象となることが明記されています。

そのほか、経営者等による保証履行の際の私財提供にかかる譲渡所得の非課税措置の対象が、これまでの中小企業再生支援協議会、地域経済活性化機構などが定める準則に基づき策定した計画のほか、平成26年度税制改正により、震災支援機構が支援する事業再生についても対象となります。

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