平成26年度の税制改正で、中小企業の特別償却・税額控除が拡充されました
平成26年度の税制改正関連法が、3月20日の参議院本会議で可決成立しました。
資本金1億円以下の中小企業は、これまでも、機械装置・事務機器・ソフトウェア等で一定要件を満たす減価償却資産を取得した場合に、特別償却や税額控除を受けることができました。この制度を利用されたことがある方も多いと思います。中小企業庁の資料によると、年間3万7千もの中小企業等で利用されているようです。
この制度について、次のように金額が上乗せされました。平成26年1月20日から平成29年3月31日までの間に取得かつ事業供用したものが適用対象となります。
●資本金3,000万円以下の特定中小企業者等
(特別償却)
取得価額の30%相当額→取得価額の全額を償却できる、即時償却に
(税額控除)
取得価額の7%相当額→取得価額の10%相当額に
●資本金3,000万円超1億円以下の中小企業者等
(特別償却)
取得価額の30%相当額→取得価額の全額を償却できる、即時償却に
(税額控除)
制度なし→取得価額の7%相当額に
ただし、全ての資産に上記の上乗せが適用されるのではなく、「先端設備」に該当するものと、「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備」に該当するものについて、上乗せが適用されます。それぞれの要件は、次のとおりです。
「先端設備」
○機械装置
・最新モデル(NC旋盤などソフトウエアが組み込まれた機械は一代前モデルも含む。)、かつ、年平均1%以上の生産性向上要件を満たす、単品160万円以上のもの
○サーバー(サーバー用OSを同時に取得するもの)
・最新モデル、かつ、年平均1%以上の生産性向上要件を満たす、単品120万円以上または複数合計で120万円以上かつ単品30万円以上のもの
○試験又は測定機器
・最新モデル、かつ、年平均1%以上の生産性向上要件を満たす、単品120万円以上または複数合計で120万円以上かつ単品30万円以上のもの
○ソフトウエア
・設備の稼働状況等の情報収集・分析・指示機能を持つ、単品70万円以上または複数合計で70万円以上かつ単品30万円以上のもの
なお、最新モデル要件・生産性向上要件は、設備メーカーが工業会等から証明書をとることになっています。また、ソフトウエアが設備の稼働状況等の情報収集・分析・指示機能を持つかどうかは、ソフトウエアを提供するベンダー側で、工業会等の証明書をとることになっています。
「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備」
○生産ラインやオペレーションの改善に資する設備(投資計画を作成し、投資利益率が5%以上であることについて地方経済産業局の確認を受けた投資計画に記載されたもの)
なお、投資計画は、税理士等の確認を受けて作成することが必要となります。また、投資利益率の計算は、「(営業利益+減価償却費)の増加額÷設備投資額」の式で算出されます。
投資計画に記載された次の資産が、上乗せの対象となります。
・機械装置(単品160万円以上)
・測定工具・検査工具(単品120万円以上または複数合計で120万円以上かつ単品30万円以上)
・電子計算機(単品120万円以上または複数合計で120万円以上かつ単品30万円以上)
・デジタル複合機(単品120万円以上)
・試験又は測定機器(単品120万円以上または複数合計で120万円以上かつ単品30万円以上)
・ソフトウエア(単品70万円以上または複数合計で70万円以上かつ単品30万円以上)